朝、鳥のさえずりで目が覚める・・・、時計を見ると5時前。外はまだ暗い、日本にいたらもうひと眠りしているところだろう。でも、ここはバリだ! 眠るのなんてもったいない、そのまま起きだして朝日が昇ってくるのを待つことにしよう・・・。 長い間憧れていた南の楽園バリ島へ、今年3月に娘と一緒に行って来た。娘の高校卒業と大学合格を祝う旅行。でも本当は、私が一番バリ島へ行きたかったのだ。この話、娘も喜んで乗ってきて、母と娘のバリ島旅行が実現した。どうせ行くなら、既成のパッケージ旅行では味わえない面白い手作り旅行がしたい。でも、娘にとっては初めての海外旅行、私にしても海外旅行経験はそれほど豊富ではなく、ましてや英会話能力も皆無・・・。そんな私達母 娘にふさわしい旅行とはどんな形だろう?
海外旅行では、日本では想定できない事態が起こる恐れがある。いろいろ考えた結果、旅行先での盗難や病気、 事故などさまざまな事態の際に安心できるのは、やはりサポートが充実した旅行会社のパッケージツアーだろう。 HISはバリ観光事業に力を入れているようで、現地営業所もあるという点で安心できると思った。そこで、HISが年頭に発売した先着100名様限定という激安ツアー『バリ島ロングステイ7泊9日59,800円』に申し込むことにした。「 激安ツアーなのでホテルには期待しないで下さいね」とHISの担当者は言う。セレブなお姫様ツアーではなく、学生の行くような貧乏旅行。まだ学生の身分の娘にはピッタリだな。
バリ島行きが決まってから、私はバリ島ファンが集まるインターネットのサイトに出入りしていた。そこにはバ リ島に魅せられて何回も旅行している人や、バリ好きが極まって移住してしまった人など、さまざまなバリ島フリークが集まっていた。そうした人々の中から2人の女性と知り合った。1人はインドネシア人と結婚してバリ島に住む主婦で、日本人観光客向けのガイドをしているMEGUMIさん。サイトを通じて連絡し合って、バリ島観光のガイドをお願いすることにした。 もう1人は東京在住でバリ島旅行はベテランの独身女性の麗子さん。バリに魅せられ何回もバリを旅しているフリーライターだ。現地にたくさんの知り合いもいるという。幸運なことに、私達の旅行日程がちょうど彼女がバリ島に行く時期と同じ頃だったので、現地でご一緒できることになり、何かと不安だらけの初バリ旅行が少し心強い気持になった。
ネットで知り合った心強い味方を得て、私達のバリ旅行は、既成のパックツアーとは一味違う理想の旅行になった。さぁ、それでは母と娘の卒業旅行のはじまりはじまり〜〜・・・、ここまで書いてきてようやく舞台はバリ島へ・・・(汗)
朝、成田を出発してバリ島に着いたのは午後6時頃。税関の手続きを終え、空港を出ると外はもう薄暗い。HISの現地スタッフの出迎えの車に乗って宿泊先のホテルへ向かう。車窓からバリの街を眺めて一番最初に気付いたこと、それは世界の多くの都市にあるような画一的なビルディングがほとんど見られず、草葺屋根や赤い瓦屋根のバリ様式の建物が建ち並んでいること。本当に南の島に来た、という気分になる。バリ島ってある意味、大きなテーマ パークのようだなぁ。
「期待しないで下さい」と言われていたホテルだが、想像していたよりはるかにきれいで居心地が良さそうな部屋だった。難を言えば、エレベータがなく3階の部屋まで階段を登らなくてはならないという点くらい。ベランダか らの眺めも良く、椰子の木々が生い茂る広い庭園にはプールも見える。暑い日中はあそこでひと泳ぎしようか・・・・、アア優雅だなぁ。憧れのリゾートライフのイメージが心の中で広がっていく。
部屋でしばしつくろいだ後、まだ夕食を食べていなかったので、街に出てどこかレストランを探そうと思い、ホテルの外に出てみた。少しドキドキする。ちょっと怖い・・・。娘と2人でしっかり手をつなぎ合って歩いた。道に迷わないように、ホテルから続く道をただ真っ直ぐ歩く。右に左に歩き、道路の向かい側に渡って、ホテルの正面に位置する大衆食堂っぽい店に入った。バリのレストランの多くは壁もドアもないオープンスタイルで、店に気軽に入れる雰囲気だ。 メニューは英語で書かれていた。つたない語学力を頼りに何とか解読(?)し、注文した。果たして想像した通りの料理が出てくるのだろうか?少し心配・・・ お店は、おじさんが1人でノンビリした調子でやっている。待てども待てども注文した料理が出てこない。腹ペコ状 態の娘は半分死にかけている(笑)・・・ようやく出てきた料理は、見かけはイマイチだったが、食べてみると美 味しい!特に野菜のたっぷり入ったスープが美味しくて、腹ペコのお腹にじんわりと吸い込まれていく・・・。
食べ終わって清算をすると、お勘定は5万8千ルピア。日本円にして700円くらいだろうか、何て安いんだ! しかも
、細かいお釣りがないからと、おじさんは500ルピアにおまけしてくれた。「ありがとう、おじさん!」出てくるのは遅かったけど、料理は美味しかったよ!「エナッ!エナッ!」(おいしい)と言っておじさんと握手。おじさんも笑顔を浮かべた。 最初の不安も吹っ飛んで、バリの人の温かさに触れた気がした。ホテルに戻ってお風呂に入ると、よほど疲れたのか、娘はぐっすりと寝入ってしまった。もう少し起きていたかったが、私もやがて夢の中に入っていった。
バリ島の一日目の夜はこうして過ぎてゆき、気付くともう朝。窓の外ではやがて朝日が昇り始めた・・・・。ここはバリ島だ、心も身体も喜んでいる。日本で病んでいた命が息を吹き返すように、バリの太陽の中で目覚めていくのを感じた。
今日から始まるバリでの旅。たくさんの人々と出会い、日本ではできない貴重な体験ができた。もっと書きたい 、でももう字数オーバー・・・。また次の機会に書かせてくださいね。では、サンペ ジュンパ(また会いましょう)
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板山美枝子
1953年生まれ。19歳の時、初めての海外旅行でインドに行く。インドに魅せられて、やがてアジアが好きになる。26歳で結婚、現在22歳の息子と18歳の娘と夫と柴犬と暮らす。バリの音楽や踊りに魅力を感じて、いつかバリ島に行くことを夢見る。これまでに、インドのほかモンゴル、中国を旅した・・・すべてアジア。なぜか欧米には一度も行ったことがない。やっぱりアジアが好き。今年の3月、一番行きたかったバリ島行きを果たす。・・・そして、老後はバリに住みたいという夢が始まった。。。。
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