紅玉髄の伝播からみるシルクロード

   東洋哲学研究所から2024年12月発刊されたシルクロード研究論集を読んだ。慶北大学教授であり博物館館長の朴天秀(パクチョンス)氏の『ユーラシアシルクロードの文明交流と東アジア』を読んだ。紅玉髄(こうぎょくずい)の伝搬がステップ、オアシス、海という3ルートからであり、それらが西洋と東洋を結ぶ交易路であったことを浮き彫りにしている。

 縄文時代、黒曜石も伝搬した。道具としての黒曜石は交易品として平和な時代を現出した。この事実は共通している。明治大学黒曜石研究センタは出土した黒曜石の産地の特定を進めている。この論文の末尾に語る言葉が重い。「シルクロード研究は人類の歴史を知り、その本質を考える上で、最も重要な分野なのだ。私たちがシルクロードに注目するのは、人類が進むべき方向性がそこにあるからである。」

 平和な時代でなければ交流は途絶えてしまう。人類は「シルクロードの交易があった時代」から学ぶ必要があると思った。